【ましき夢創塾】ボランティアブログ vol.1:谷 美奈帆さん
「東京と熊本。離れてはいるけれど、彼らと共に私も頑張ろう」
こんにちは。普段は東京都文京区にある中高生の秘密基地「b-lab(ビーラボ)」で、フロアキャスト(ボランティア)として活動している大学3年の谷 美奈帆です。7月31日から8月6日の約1週間、中学生の学習支援ボランティアをするために熊本に滞在しました。被災地の中学生と共に過ごした中での気づきを書きたいと思います。
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東日本大震災が起きてから5年と半年が過ぎようとしています。震災当時、私は中学生でした。津波で家や車が流されていく映像をテレビで呆然と眺めていたことを今でも覚えています。一方で、遠い世界の話だと思って何もしなかったことをずっと後悔していました。だからこそ、熊本・益城町でカタリバが行っている学習支援のボランティア募集を知ったとき、私にも何かできることがあるのではないかと思い、熊本へ行くことに決めました。
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熊本初日、活動場所である中学校へ向かう車中から倒壊した家屋や隆起した地面などを目の当たりにし、熊本地震の被害の大きさを改めて知りました。同時に、東京に住んでいる私にとっては非日常に思われる世界に、彼らの日常があることを痛感しました。
ここで生活している中学生はどんな表情をしているのだろうか。普段はどこに行ってもポジティブでいられる性格ですが、どんな風に接したらいいのだろうかと考えてしまい、このときばかりは不安が募りました。
不安と緊張の中、訪れた中学校。出迎えてくれた中学生たちは笑顔にあふれていました。
「たにちゃーーん!!」
「私も東京行ってみたい」
「渋谷の109いったことある?」
「東京の人って歩くのすごい早いんでしょー?」
私の不安は一瞬にして払拭されました。
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熊本コラボ・スクール「ましき夢創塾」では、中学生一人ひとりが始まりの時間に「今日の目標」を立て、終わりに『達成度と感想』を書いています。私は毎日、そのシートにコメントを書いていたのですが、そこにも彼らのポジティブな感想がたくさんありました。
集中して目標達成できた。
目標まで終わらなかったから、家でやってくる!!!
とっても緊張したけど、めっちゃ楽しかった!!
自習のどのあたりがめっちゃ楽しかったのだろうと思い巡らしながらコメントを返すのですが、確かにみんな楽しそうに勉強していました。それは震災直後、学校に通えず勉強ができなかった期間を取り戻そうとしているようにも見えました。
勉強の話のほかにも、生徒たちとはいろいろな話をしました。進路、家族、東京のことなど、話題は尽きないくらいたくさんあります。当然、震災のことも話に出ることがありました。
「家の一階の一部が崩れそうになってたから、家族みんなで直して、大変だったけど今は大丈夫」
「今も狭い仮設住宅で家族みんな川の字になって寝とるよ」
笑顔で毎日を過ごす彼らですが、震災の恐怖、苦労、苦難を乗り越えて、今があります。そうした彼らの努力と強さの延長線上にある笑顔は、私に震災をわかっているつもり、理解しているつもりであったことを気づかせてくれました。
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震災があったことを「負」と捉えないポジティブなパワーに溢れ、よく笑い、勉強に向かう彼らから学ぶことは多くありました。震災を経験していない私がすべてを理解することは難しいかもしれません。しかし、「関わろうとすること」が彼らにとって、そして熊本の未来にとっても大切なのではないかと思っています。
ここへ来る前の私は、自分に何ができるだろうか、何を与えることができるだろうかということばかり考えていました。けれど、彼らと一緒に時間を過ごし、今は違う思いを抱いています。東京と熊本。離れてはいるけれど、彼らと共に私も頑張ろう。そう強く思わせてくれた充実した一週間になりました。
ありがとうございました。