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「壁はいつか扉にかわる」〜益城町の中学1年生による職場訪問〜

2017.2.17

こんにちは。熊本・益城町から井下友梨花がレポートします。


益城町立木山中学校では例年、中学1年生の時に「職場訪問学習」の授業があります。2年次の「職場体験学習」の前段階として、自分の将来や働くことについて考えることがその目的です。

今年度は、地震の影響でいつもは受入にご協力いただいていた町内の事業所への依頼が難しいことから、熊本市内までバスで足を延ばすルートを新たに開拓し実施しました。熊本コラボ・スクールでは先生方の負担を少しでも減らせるよう、新たな事業所開拓やバスの手配、職業講話のコーディネートなどを行いました。


1月31日(火)、木山中学校1年生約90名が熊本市街地ルート、東区ルート、木山中ルートの3つに分かれて職場訪問学習が始まりました。熊本市街地ルートはフリーアナウンサーの齊藤こず枝さんの職業講話からスタート。

▲アナウンサーとはどういう職業か、なぜその職業に就こうと思ったのか、どうやったらなれるのかを分かりやすく教えてもらいました。その後、手鏡を使って、自分の顔を客観的にみるワークも行いました。

▲発音の練習や、事前取材の重要性のお話を聴いた後で、9月に行われた実際の体育大会の動画を見ながら、実況中継の練習も行いました。来年度の体育大会で活かされるかが今後の見所です。

▲その後、職場訪問に伺いました。裁判所職員、国際交流会館職員、書店店長、スターバックスコーヒー店長、ペットサロン店長(トリマー)といった様々な職種の方々にそれぞれ5名前後の生徒が訪問し、インタビューを行いました。書店では「中学1年生におすすめの本は何ですか?」など職業観以外の質問もあり、盛り上がりました。

▲ペットサロンでは動物に関わる仕事に興味がある生徒が、日常の苦労や喜び、資格の取得方法などについて熱心にインタビューしていました。


東区ルートでは、薬剤師、一級建築士、税務署職員、車関係のお仕事、パティシエの方々にご協力いただき、インタビューを行いました。「地震の後の職場はどのようになりましたか?」「(設計士の方に)地震の後に住宅の性能は何か変更しましたか?」など、地震に関わる質問をする様子が見られました。

▲職業講話では、株式会社クマベイス代表取締役の田中森士様よりお話をいただきました。ご自身の起業経験、企業のために必要なことは何かなどのお話の後、起業を体験するワークショップを実施。「道がガタガタ」「校門から校舎までの距離が遠い」など、普段の学校生活で中学1年生が感じている課題に対して、原因や打ち手などのブレーンストーミングを行いました。


木山中学校を拠点としたルートでは、警察官、消防士、介護系のお仕事、保育士の方々の職場を訪問しインタビューしました。

▲このルートは、バスの移動がなかったので、NPOカタリバの鈴木隆太より事前・事後ワークを実施しました。インタビューや職業講話にどのような姿勢で臨みたいかについて、予測される未来や鈴木自身の経験をふまえ、生徒とともに考えました。

▲その後の職業講話には、J2リーグ「ロアッソ熊本」でゴールキーパーとして活躍されていた元サッカー選手の小林弘記様にお話をいただきました。


今回の「職場訪問学習」を体験した生徒からは次のような感想がありました。
「夢を叶えるには何でも完璧でないといけないと思っていました。しかし今回の訪問で、夢は一度で叶えなくてもいいことが分かりました。今日お話を聞いた方のように私も、何度も失敗しながら達成していこうと思います」
「職業講話の中で『壁はいつか扉にかわる』というところが印象に残りました。私は『自分の夢なんか絶対に誰にも話さない』と思っていたけど、お話を聴いて、ネガティブに考えず自分のことを話そうと思いました」

この機会が、夢への道筋のイメージや、自分の将来に希望を持つきっかけになっていたら嬉しいです。