第2回 日経ソーシャルイニシアチブ大賞 表彰式が行われました
さまざまな社会的課題をビジネスの手法で解決する「ソーシャルビジネス」の優れた取り組みを表彰し、広く社会に情報発信していく「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」において、認定NPO法人カタリバが「東北部門賞」を受賞し、その表彰式が6月2日(月)に開催されました。
活動地域が国内外の多岐にわたる、NPO法人や株式会社など総勢401件のエントリーの中から、カタリバが運営するコラボ・スクールは、「未来の復興を担うリーダー育成を目指した独自の教育プログラムや事業性、組織機動力」を評価いただき受賞に至りました。
代表理事の今村が登壇し、「震災をきっかけに始まった事業だが、震災がなければこの場に上がることもなかったと思うと、複雑な気持ちです」と、被災地への想いを織り交ぜながら受賞のコメントを始めました。
そこでは「お礼や活動の説明をするよりも、意味のあることを」と、震災当時、お子さんを津波で亡くされた女川町の先生が、「震災での経験を、未来のために」記したメッセージを朗読しました。
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~ セウォル号事故の遺族の皆さまへ(抜粋) ~
あまりに突然の悲しみと理不尽さに、自ら命を絶つ遺族もおられるという報道に、いたたまれず手紙を書いています。
セウォル号の事故で、未だに大川小学校での事故が教訓にもなっていないことが分かりました。3年以上も前の事故を通して、命を預かることの意味が見直されていれば、今回のような事故は防げたかもしれないとさえ思っています。
あの子たちの犠牲が無駄になるかどうか、それが問われているのは生きている私たちです。小さな命たちを未来のために意味のあるものにしたい、それが、3年かかってようやく見つけた私にとってのかすかな光です。
胸を締め付けるこの悲しみは、娘の存在そのものです。だから、無理して乗り越えなくてもいいんだと、最近ようやく気づきました。この悲しみとともに私は残りの人生を歩んでいきたいと思っています。
時折、夢に出てくる娘はいつも笑顔です。
皆様どうぞご自愛ください。
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また、サプライズゲストとして、昨年度、大槌中学校副校長をなさっていた、大槌町教育委員会学務課課長 松橋文明様が駆けつけてくださり、今村やコラボ・スクールへ関わるメンバーへのコメントをくださいました。
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~松橋様のコメント(抜粋)~
子どもたちがコラボ・スクールに通う姿を見続けてきて、日々成長していく姿を身近に感じていました。
いろいろな悩みを抱えている子どもたちが、学力向上だけでなく、心を支える活動によってサポートを受けており、現在は小学生まで授業を広げていただいて感謝しています。
私の子どももコラボ・スクールに通っており、今後も、お互いに協力しあうパートナーとして、交流を深めていきたいと考えています。
教育だけでなく、復興に携わる人材育成を、共に行っていきたいです。
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私たちにとって、松橋様がこの場にわざわざお越しくださり、コラボ・スクールへの想いをお話くださったということは、東北部門を受賞したことと同じくらい、光栄で本当に嬉しいことです。
これまで3年間、大槌町、女川町でコラボ・スクールを運営してきましたが、町の外から来た私たちがここまで続けることができているのは、教育委員会、学校、地域、保護者の方など、たくさんの方々のご協力や手助けがあってこそだと思っています。特に松橋様には、昨年度までは学校という立場として、今年度からは教育委員会として、そして保護者として、様々な立場から関わっていただいてきました。そんな松橋様の「パートナーとして」という言葉は、大変嬉しく思います。
しかし、まだまだやるべきことはたくさんあります。
震災で失ったものを、次に生かす学びに変えていくことが私たちの使命と感じています。今後も、「生き抜く力を育てる」という想いのもと、スタッフ一同初心を忘れず、活動に取り組んで参ります。