生徒が先生になって戻ってきた!
女川向学館の卒業生で、現在高校2年生のあかりさん。
元生徒のあかりさんが、先生として戻ってきてくれました!
期間限定ではありますが、
彼女から「向学館でボランティアがしたい。」という申し出があり、
週2日、お手伝いをしてもらっています。
あかりさんが生徒として向学館に通っていたのは、2年前のこと。
中学生当時、あかりさんが向学館に抱いていたイメージは“学習の場”。
震災後、学習場所を失った女川町の子どもたちにとって、
向学館という“学習の場”、そして勉強を教えてくれる先生たちの存在は
とても大きかったようです。
あかりさんの向学館でのボランティア希望の理由は、自分の成長のためと言います。
「女川のために何かしたい。でも私には行動力はない。
将来、教育に携わりたいという夢もある。
自分に足りない力をつけるために、
身近なことから行動してみることが大切だって思ったんです。
その身近な場所が私にとっては向学館でした。」
では、ボランティアをしてみて、どんなことを思っているのでしょうか。
「今、私が向学館に対して思っていることって、中学生のときとは少し違うんです。
先生たちはこんなに生徒一人ひとりのことを見ていたんだって驚いています。
生徒の学習のことだけでなく、生徒自身に向き合おうとしていることに、
生徒だったときには気づいていませんでした。
こんなに生徒に向き合おうとしてくれる場所ってなかなかないと思います。」
そのように感じてから、あかりさんが意識していることがいくつかあるようです。
「私は、ほかの先生たちのように長い人生を生きてきたわけでもないので、
もしかしたら話せることはそんなにないのかもしれない。
経験もなく、後輩である生徒たちと向き合うってことも難しいのかもしれない。
でも、“地元の先輩”として話せることは、きっと私が一番多いんですよね。」
自分が通っている高校はもちろんのこと、友人が通っている高校についての情報。
また、勉強の仕方や受験に向けてのことも話していこうと考えてくれています。
「例えば、中学生のときは英語が嫌いで、英単語の勉強なんてやりたくない。
覚えなさいと先生は言うけどどうして覚えなきゃいけないの。
そう思い、どうしてもさぼりがちでした。
でも高校生になってみて、あのとき先生が言っていた意味がわかったんです。
英単語の大切さも、苦手なことに向き合うことも、
どちらもとっても大切なことだと思いました。」
中学生のときには気づかなかったけれど今になって気づくこと。
中学生のときに気づいていれば、もっとよかったと思うこと。
そう感じることがほかにもあるようで、
「後輩たちが後悔しないサポートをしたい。」とあかりさん自身考えています。
高校生になり、女川のために何ができるだろうと考えることが増えたと言う彼女。
高校生だからこその目線で自分にできることを真剣に考え、
それを行動に移そうとする姿は、
私たち向学館スタッフに、あらためて気づきをくれたような気がします。
「中学生の気持ちに一番に寄り添いながら、
一緒にそのギャップを埋められるように自分にできることを精一杯やります。」
少し遠慮しながら自分の言葉でしっかりと語る彼女の姿に、
頼もしさを感じました。
高校生になって何かに気づき、後輩に向き合おうとしている向学館の先輩。
この町を明るくする小さな強い芽が、向学館でうまれています。