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熊本と女川 2つの「被災地」で見つけた大切な想い

2018.5.14

2016年5月、宮城県女川町にてカタリバが運営する、被災地の放課後学校コラボ・スクール女川向学館で働くスタッフが、東北で培った知見と経験を活かし熊本地震で被災した子どもたちをサポートするために、女川に別れを告げ熊本へと旅立ちました。
以前ブログで紹介した「のぶさん」こと芳岡孝将さんです。

それから2年の月日が流れ、「のぶさん」はこの春、女川に戻って来ました。
「よ!久しぶり。」
「あれー!戻ってきたの!嬉しい。」
久しぶりに向学館に戻ってきた「のぶさん」を見つけて、子どもたちも嬉しそうです。
今回は、東北と熊本という2つの「被災地」で、子どもたちと一緒に日常を過ごしたスタッフにスポットをあててお送りします。

■東北で4年ほど働いたタイミングで熊本地震が起きたんですよね

2012年の4月から、女川向学館を運営しているNPOカタリバで働いています。熊本で震災があった時は女川向学館で働いていました。

■熊本の震災が起こった時に真っ先に動いたのは向学館の子どもたちだったと聞きましたが詳しく教えてください

熊本で震災が起こった時に、向学館の高校生たちが真っ先に相談に来たんです。物資を集めて熊本に送りたいけれどどうすればいいか教えてくれと。
自分が教えていた子どもたちが、自分たちと同じように震災で辛い思いをしている熊本の人達のために何かしたいと行動している姿を見て、すごく嬉しかったですし、自分自身も何かしなくちゃという気持ちになりました。

■その出来事もきっかけとなり熊本に行く決意をしたんですよね

ゴールデンウィークにカタリバのスタッフが数名、熊本に入り現地を見て回りました。カタリバが直接支援するのか本当にやれるのか等色々議論する中で、現地にスタッフを入れるという決断がされて、私に声がかかりました。その当時、女川町も復興が進みつつありましたが、ずっと見ていた女川の子どもたちを置いて、自分が熊本に行ってよいものか相当悩みました。そんな時、熊本の人達のためにと行動している向学館の高校生たちを見て、その子たちの想いも持って熊本へ行こうと決意しました。

(熊本の震災後の様子)

■女川の子どもたちと熊本の子どもたち それぞれの特徴など感じた部分はありましたか

どちらの地域でも感じたことは、普段接している子どもたちから「震災」を感じるということがあまりないということです。東日本大震災、熊本地震を経験しているということは、子どもたちにとってもちろん大きな出来事だと思うんですが、普段の明るくて元気な様子からは、被災地の子どもと言われても他の地域の子どもたちと何も変わらないなと感じます。
一方で2つの地域で違うなと感じることもあります。女川と熊本の子どもたち、どちらも震災を経験しているという点では同じですが、置かれている状況はかなり違うなと感じましたね。女川町では、町の大部分が津波で流されたため、被害状況もどの子も似たような場合が多かったですが、熊本は、被害がまだらに広がっていたため、家が全壊の子もいれば、まったく被害を受けていないという子もいました。どちらもそれぞれの課題があるように感じます。

(益城町での様子)

■熊本の子どもたちと東日本大震災について話すことはありましたか

東日本大震災と熊本の震災を比べないでほしい、と子どもが言っていたことがあります。熊本地震は、東日本大震災と比べると確かに被害は小さいかもしれないが、自分にとっては一生忘れることの出来ない出来事だったし、とても大きな出来事だったと。その話を聞いた時、確かにそうだなと思いましたね。どちらの「震災」もその子にとっては一生を変えてしまうくらい大きな衝撃だったわけです。

(熊本で子どもたちに勉強を教える様子)

■2年ぶりの女川 町の様子や子どもたちの変化は感じますか

町は2年前と比べてずいぶん住宅が建ち始めたなという印象を持ちました。私がこの町に居た時はまだ仮設住宅に住んでいた子が、新しい家に引っ越ししたよと嬉しそうに報告してくれたり、町の再建が進んでいるなと感じます。
子どもたちも、キャラクターは変わらずとも表情がぐっと大人っぽくなったり、この2年間でいろんなことを経験してやはり子どもの成長ははやいですね。

(女川町の最近の様子)

(中学1年生の時に教えていた子どもたちは中学3年生になりました)

■今被災地の子どもたちに想うことは

たくさんの人達に応援されているということを、もっと素直に受け入れていいなと思っています。申し訳ないなと思わずに、ちゃんと応援されてそれを自分の力に変えてほしい。一人1人が誰にも負けないその子のストーリを持っているのだだから。そのために、自分は子どもたちに寄り添っていきたいし、一番そばで応援し続けていきたいと思っています。

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「震災」はたくさんの人の運命を変えてしまう力があります。
2年前に女川を旅立つことになった「のぶさん」もきっとその一人。
予想していなかった出来事が自分に起きた時、どう行動するのか、
何を大切にして生きていくのか。
そんなことをこれからも子どもたちと一緒に考えて続けていきたいと思います。

春もみんなでがんばっぺし!