震災を経験した大学生が、女川で学んだ「教育」とは ~毎日の積み重ねが大きな成長へ~
NPOカタリバでは、大学生に向けて教育の現場に触れる機会を提供する、1年間の「実践型教育インターンシップ」という制度を設けています。
4月から女川向学館で活動するりんぺいさんも実践型インターン生の一人。今回は彼の1年間にわたる挑戦をご紹介します。
彼は女川向学館のある宮城県女川町の隣町、石巻市の出身です。
現在大学4年を休学して、大学のある東京から女川町にやってきました。
インターンのきっかけ
元々学校が好きで、みんなが楽しめる体育の授業を作りたいと思い、体育の教員を目指していました。
大学では社会体育学を勉強していましたが「教育」という学問を真剣に学ぶにつれて、机上論ではなく現場の様子を知りたいという想いが強くなりました。また、ふるさとである石巻や宮城に対して何か恩返しや尽力できることはないかと考えていました。
そんなとき、この実践型教育インターンシップという制度を見つけました。
大学生だからこそできるチャレンジを逃したくない、自分を成長させたいという想い、教員になっても宮城に関わっていたいという想いがあり、挑戦してみようと飛び込みました。
インターンでの活動は
活動としては毎日の授業はもちろん、子どもたちやスタッフが安心安全に利用でき
最近では私自身の専門性を活かし、中学校で体育の授業を行う計画
実際に向学館で活動してみて、はじめはインターンと言いつつも日々の活動は職員とほとんど変わらないことに驚きました。自分のやってみたいこと、頑張りたいことにはなんでも挑戦させてもらえる環境だと感じています。
半年間教育の現場に触れてみて、悩みや葛藤は
向学館には小学生から高校生までの子どもがやってきますが、日々子どもと接していると、小学生との関わりに悩むことがありました。
子どもたちにとって向学館は居場所であるのを日々感じると同時に、勉強や自分の好きなことに挑戦できる場でもあります。
子どもたちは目の前で起きること、自分のことに一生懸命で、ときには周りが見えなくなってしまうこともあります。実際、授業中に学習以外のことに興味を奪われたり、自分の気持ちをつい周りに発散してしまう子もいます。そんなときは、子どもの興味に自分がどこまで寄り添えるのか、全ての子が学習に気持ちよく向かうためにはどのように環境を整えるのがよいのか、反省する日々です。
ただ子どもの一生懸命な姿に向き合う中で、目の前の子たちはこういう価値観を持っていてこう考えたからそんな風に行動したんだよね、と気付けるようになってきました。
そして、子どもたちとは、信頼関係を築くことで深いコミュニケーションをとれるようになってきたように感じます。その中で、私自身が子どもたちに何を学んでほしいのか、どういう挑戦をしてほしいのか、伝えられるようになりました。
そのおかげもあり、今では子どもたちとの授業を楽しみにしている自分がいることにも気付きました。
また今向き合っている中高生の子どもたちも、みんな目の前のことにまっすぐ挑戦したり、ときには失敗したりを何度も経験して成長したきたんだと気づきました。
毎日の積み重ねが大きな成長に繋がると感じた出来事でもあり、現場で子どもと向き合うからこそ得られる学びがたくさんあると改めて感じました。
残り半年のインターンで
半年を振り返ると、「教育」は一日で結果が分かるものではない、日々の挑戦の積み重ねであるということを、現場に入ってこそ学びました。毎日のなんでもない積み重ねをいかに魅力的なものにするか、妥協しないで子どもたちと接することができるかが大切なのだと考えています。
そして残りの半年は、毎日同じ日常のように感じるけれども、少しずつ変わっていく子どもたちの成長をより深く見守っていきたいと思います。
子どもの表情や成長を見守る観点を深められると、その変化にも気付くことができ、自分自身の大きなモチベーションにも繋がるように感じます。
子どもたちとの良い関係性をより活かすためにも、自分が常に100%の状態で向き合っていきたいと思っています。
自分のやっていることがすべて自分自身の成長に繋がっていると信じているので、これからも自分の活動の質を高め、成長に貪欲でありたいです。
いかがでしたでしょうか。
子どもと向き合う中で見えてきた、りんぺいさんの学び。
残り半年のインターンでりんぺいさん自身の更なる成長も楽しみです!