【ボランティア体験記】 ~1ヶ月でも短くない!自分を見つめ直すことができた子どもたちとのふれ合い~
コラボ・スクールの授業は、職員だけではなく、子どもたちに勉強を教える役割のボランティア(1ヶ月間)やインターン(3ヶ月間以上)など、自分に合ったさまざまな関わり方で参画しているスタッフによって成り立っています。
今回は、2015年6月まで大槌臨学舎にて、ボランティアスタッフとして活動していた水谷美絵さんのインタビューをご紹介します。
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<プロフィール>
水谷美絵(みずたに・みえ)
Williams College(アメリカ合衆国)所属
現在大学3年生
ボランティア参加期間:2015年6月1日~6月23日
<町やコラボ・スクールのおすすめポイント>
6月下旬でも暑くならず、土手などもすごく綺麗で、近所を散歩するのにすごく良い環境です。
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ーー コラボ・スクールのボランティアに参加する前は、何をしていたんですか?
水谷 アメリカの大学で、大学生活を送っていました。
ーー 日本の被災地・東北ボランティアに参加しようと思ったきっかけは?
水谷 東日本大震災が発生した当時、私は父の転勤先である、地球の裏側のブラジルにいました。その後アメリカの大学に進学し、震災の影響などを自分の目で見ることなく4年間が過ぎてしまいましたが、日本人として、母国に大きな影響を与えた震災の被災地の様子を、自分の目で見たいと考えるようになりました。
ーー コラボ・スクールをボランティア先に選んだ理由は何ですか?どんなところに惹かれました?
水谷 コラボ・スクールのボランティアに参加することで、「自分の経験」だけで終わるのではなく、得意な英語や数学を使って「子どもたちのために何か役立つこと」ができるかもしれないと思い、応募することにしました。
ーー 被災地でのボランティアに参加する上で、不安だったことはありますか?
水谷 1ヶ月間という短い期間だけ参加することが、生徒たちのためになるのではなく、彼らの日常に介入し、それを壊してしまうのではないか…ということが心配でした。
ーー 実際にコラボ・スクールに来てみて、どんなことを感じました?
水谷 いわゆる「塾」というよりも、子どもたちが自由に通い、勉強できる場所、という印象が強いです。生徒が楽しそうに登校してくる様子は、町の児童館を彷彿させるものでした。
ーー 職場やスタッフの雰囲気はどうでしたか?
水谷 ボランティアだからといって特別扱いすることなく、和気あいあいとしながらも、やる時はきちんとタスクをこなしてメリハリがある職場でした。業務内外問わずに、すごく親切にしてくださり、週末には買い物に付き合ってくださったり、観光に連れて行ってくださったり。地域の親睦会にも参加でき、スタッフの皆さんのおかげで、地域のことを知る機会が多く持てました。
ーー そんな中で大変だったことや辛かったことはありました?
水谷 先ほども触れましたが、生徒との距離感です。子どもと遊ぶことが好きな私にとって、私がいなくなった後に生徒の日常を壊さないように、適度な距離感を保つのはとても難しいことでした。普段だったら生徒と一緒に遊んだり、色々なことを質問するところを、ぐっと我慢する…仲良くなりすぎてもいけないし、かといって生徒の勉強を見るためだけに私がいるのではないということは、思っていた以上に考えて行動する必要がありました。
ーー どんなところにやりがいや嬉しさを感じました?
水谷 確率の問題が分からない生徒に、自分なりに分かりやすさを意識して説明したところ、「はじめて確率が理解できた!」と言ってくれた時です。自分の説明によって生徒が分からなかった問題や考え方を理解してくれた時、私がいなくなった後でも、生徒に何かを残せたのではないかと思い、とても嬉しかったです。
ーー コラボ・スクールでの経験から学んだことや、今後に生かせると思ったことはありますか?
水谷 日本にいる間、東京で育った私にとって、コラボ・スクールの子どもたちと触れ合う中で驚いたことがたくさんありました。「日本人がみな、東京の人のようだと思ってはいけない」と、以前近畿地方出身の知人に言われたことを思い出しました。みんな純粋で、自分や親のプライドのために勉強しているのではなく、眼がキラキラしていて(東京の人がみんなそうではない、というつもりはないのですが…)。海外に長く住んでいるため、よく日本人というアイデンティティについて考えることがあります。今回の経験を通して、自分の知らなかった日本人、そして日本の一面を知れたような気がします。
ーー ボランティア終了後はどのようなことをするのですか?
水谷 まずは大学をきちんと卒業しようと思います。その後、日本にとどまらず、日本人として海外に関わる仕事に就きたいと考えています。コラボ・スクールでは、スタッフだけではなく外部の社会人と接する機会もあり、仕事の進め方、指示の出し方、効果的なプレゼンテーションなど、働くことについて考える機会が多くありました。この経験は、より有用な社会人になるために役立つと思います。
ーー 最後に、ボランティアを検討している人にメッセージをお願いします。
水谷 時間の制約で3ヶ月のインターンはできないけれど、1ヶ月で何ができるのか…と思っている方もいると思います。私の実感は、1ヶ月でも短くありませんでした。コラボ・スクールならば、1ヶ月だけでも自分を見つめ直すこと、少しでも子どもたちの役に立つことができると思います。もちろん、長期間チャレンジできるならば、できるだけ長く滞在することをお勧めします。もし参加するかどうかを悩んでいるならば、まずは応募してスタッフと話してみましょう。疑問点などがクリアになるので、それからチャレンジすれば、きっと後悔はしないと思います。