【ある生徒の成長】目標に向かってがんばるチカラ
大槌臨学舎では、今年度からの新たな取り組みとして、「おおつち検定」という教材を使った漢字の勉強に力を入れています。
日々の学びの中で、子どもたちが「できた!」「やればできるんだ!」という感覚を身につけるために、何か効果的な仕組みはないか…と頭を悩ませていた時に、日本漢字能力検定協会様とのご縁があり、「おおつち検定」が生まれました。使用する教材は漢検の過去問を使わせていただいています。
今回は、そんな「おおつち検定」を通したひとりの小学生の成長をご紹介します。
彼がコラボ・スクールに通い始めたのは、およそ1年前。共働きの両親の仕事が終わるまで、小学校の後はここで過ごすことになっています。しかし、彼にとっての勉強は「やさられるもの」「つまらなくてしんどいもの」。
宿題すら、なかなかやる気になれませんでした。机に突っ伏して、鉛筆は机の上に転がったまま。「はじめよう!」と声をかけても、彼から出てくる言葉は、「つかれた」「やる気が出ない」「来たくて来てるんじゃない」。
それでも、彼が本当はしっかりと勉強に取り組めること、ばつぐんに算数が得意なこと、漢字もたくさん知っていること、先生たちは知っています。なんとか彼がコラボ・スクールでの勉強に楽しみを見出せないか、試行錯誤の日々が続いていました。
そんなとき、始まったのが、おおつち検定でした。
生徒全員に”おおつち検定カード”が発行されました。練習プリントを4枚終わらせたらシールを貼ります。シールが貼られたカードを先生に見せると、おおつち検定本番が受検できます。
最初こそ「めんどくさい!」と言っていた彼ですが、一生懸命に取り組む友だちをみて、少しずつ前向きに練習プリントに取り組むようになりました。
やがて、嫌々来ていた自習室でも、学校の宿題を終わらせ、黙々と練習プリントに取り組む姿が見られるようになっていきました。
丸つけを先生に頼みにくるときは「どうせ間違ってるし…」なんて言いながら、でも丸がいっぱいもらえたときは誇らしげな笑顔を見せてくれました。
その甲斐あって、彼は友だちよりも先に受検資格のシールをゲットすることができました!
ちょっぴり緊張の面持ちで、本番受検。
結果は・・・・・合格点まであと3点。残念ながら、あと一歩のところで合格には手が届きませんでした。
合否を伝えられた時には、がっかりした表情を浮かべ、でもすこし強がって「どうせ落ちるってわかってた。」と一言。それでも、先生に励まされると、諦めることなく新たな練習プリントに取り組みはじめました。ここでやる気の火が消えてしまうのでは、、、と、内心不安に思っていた先生の気持ちをよそに。
そして、2回目の挑戦で見事合格!今も、次の受検を目指し、彼のチャレンジは続いています。
おおつち検定を通じて、彼の中に小さな自信が確かに生まれました。他の生徒たちにも、「ひとつの目標に向かって一生懸命にがんばる」そんな姿勢が少しずつ、身についていっているように感じています。
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ご協力いただいている日本漢字能力検定協会の花本さまのコメント
「検定では自身の努力が成果として現れます。自分の力にあった級を選び、ステップアップしていくことで、努力が実るという成功体験を重ねていってほしいと思います。また、そこで身につけた力をやがて日本や世界で活かしてほしいと思います。漢検は日本国内や海外で年間200万人以上が受検する社会で認められた検定です。おおつち検定で身につけた力を漢検で試し、更なる成功体験を積み重ねていただければと思います。」
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コラボ・スクールは、”コラボレーション”の名の通り、様々な方々と協働しながら、子どもたちの成長を見守っていく場所です。これからも、前向きなチャレンジを一緒にしてくださる方々とともに、子どもたちの可能性を拡げていきたいと思います。