大槌のみち〜町再生のスタートライン〜
7月2日。
小さな町に、何やら大きな人だかりができていました。
それもそのはず。この日は大槌町の「メインストリート」とも言える県道のお披露目式が行われました。
雨の降り出しそうな曇り空にもかかわらず、県内外から大勢の人々が集まりました。
これが県道大槌小鎚線です。
震災前までは、役場や商店、家々が軒を連ねた、大槌の大動脈ともいえる場所です。
震災によって道路沿いはがれきで埋め尽くされましたが、道路自体は今回新しく開通した道路とほぼ同じ場所に残っていました。
かつて、大槌臨学舎に場所を提供していただいていた神社やお寺があるのも、仮設校舎が建っていたのも、この道沿いです。
交通量が多いため、職員総出で登下校する生徒たちの誘導をしていたこともありました。
そんな大槌の大動脈が、地域一帯のかさ上げ工事に伴い、生まれ変わることになったのです。
そして迎えた開通式。
「新たな大槌町を築き上げていく、大きな一歩だ」と、町長。
開通を祝う式典では、郷土芸能を披露するパレードも行われました。
鮮やかな衣装に身をつつみ、笛を鳴らしながら思い思いに舞う人々の中には、臨学舎に通う小・中学生の姿もあります。
大槌町は祭りのまち。これほど多くの町民が踊りを身につけている町は、他になかなかないかもしれません。
長く長く連なった、踊りの行列。向かう先はメインステージです。
式の帰り道、家族連れのこんな会話が聞こえてきました。
「ほら、あそこにはお店があったじゃない」
「そうそう、その隣が歩道橋で・・・」
当時を懐かしむように、ゆっくりと、確かめながら歩みを進めていました。
この道は、かつての大槌を思い出させる道標なのかもしれません。
* * *
工事中は迂回路を通らなければなりませんでしたが、今回の道路開通で、その不便さも解消されます。
たくさんの車や人が行き来する県道大槌小鎚線は、大槌の「メインストリート」として、見事に復活を遂げました。
一方、道路の両脇では、相変わらずかさ上げ工事が続いています。
道路が完成したとはいえ、町づくりはまだまだこれから。
かさ上げされた土地の上に、新たな大槌町が築かれていきます。
トラックが巻き上げた土ボコリの中を、自転車で勢いよく疾走していく子どもたちの姿が見えました。
この先、町はどのように生まれ変わっていくのでしょうか。
町の変化を、そして未来を、これからも見守っていきます。