【交流プログラム】自分とふるさとを見つめ直す
夏期講習真っ只中の臨学舎に、はるばる東京からお客様がやってきました。
ご寄付をいただいている双日株式会社の社員の皆さんです。
大槌臨学舎の中学生約50名と5名の高校生が、社員の皆さんと交流をしました。
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大勢の中学生が集まったこの日は、夏期講習中のお楽しみ企画の日。
社員さんにもご参加いただき、スイカ割りからスタートしました。
生徒たちも、大盛り上がりです。
おいしくスイカをいただいた後は、社員の皆さんから中学生へ、お仕事とご自身のお話について熱く語っていただきました。
「仙台に6年間住んでいました。今はスリランカという国の人たちに、車を売る仕事をしています。」
「私は中国出身で、去年日本に来ました。日本語も文化も勉強中です。」
「私はイギリス出身です。みんなイギリスってどんなイメージ?」
様々なバックグラウンドを持った皆さんのお話に、生徒たちは興味津々。
モンゴル出身のドゥルさんの夢は、国に戻って、電気を届けること。
「みんなと同じ中学生の時は、バスケをするために、アイスクリームを売るバイトをしていました。今は、日本で商社の仕事をしているけれど、いずれはモンゴルに帰って、モンゴルの人たちのために仕事をできたらと思っています」
「中学生のときの部活は?」「今好きなものは?」「仕事をしていて一番嬉しいのは?」
お話の後には、子どもたちからの質問が飛び交いました。
普段は出会えないような「大人」のお話を聞いて、自分の将来や仕事について考えを深めていました。
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そして、翌日。今度は高校生たちの出番です。
春から、この日を目標に準備をしてきた高校生たち。
大槌にまた来たいと思ってもらおうと町の好きなところ・案内したいところなど、周る場所や説明する内容を自ら考え、ツアーを企画しました。
バスに乗り込み、まずは、町内を一望できる城山公園へ。町を見下ろしながら、震災当時の話をします。
「私は震災のとき、小学校5年生でした。友達とここまで避難しました。津波が町を襲うのをみていました。知ってる友達の家もあったので、夢かなと思っていたのを覚えています。通っていた小学校は火事になって真っ黒になりました。いまは盛り土が進んでるので、少しずつ、復興してきているなと思います」
続いて訪れた、旧大槌町役場。
「ここで、40名の方が亡くなりました。この建物を残すかどうか、町内で議論をしているところです」
こちらは、ひょっこりひょうたん島のモデルにもなった蓬莱島。ここは、リーダーの佐々木くんの思い出の場所。
「震災前はよく遊びに来ていました。なかなか釣れませんでしたが、釣りをした思い出の場所です。」
移動のバスの中では、手作りの大槌クイズで盛り上がりました。
「町の鳥はなんでしょうか?」「現在の町の人口はどのくらいでしょう?」
「電話ボックスの中には、電話線がつながっていない電話があります。亡くなった方々と話をしに、震災で大切な人を亡くした方々が訪れています。私は、家族は亡くしていないけど、家を流されました。そんな私でも、この電話ボックスに入り、訪れた人たちが書いたノートを見ると、辛くて仕方ありません。この場所は、遺族の方々が辛い気持ちを吐き出す場所になっています。これからもあり続けてほしいと思っています」
自分の体験をもとに語る姿に、社員の皆さんも真剣に耳を傾けてくださいました。
ツアーが終わった後は、お寺にお邪魔し、お昼ご飯。そこで出てきたのは「おぼろ」。
大槌ではお盆の時期に食べる郷土料理です。実はこの料理、佐々木くんの発案で、お寺の奥様に教えていただきながら、作ったものです。
佐々木くんの将来の夢は、料理人になること。
前日から仕込みをして作った甲斐があり、皆『美味しい』と食べてくれました。
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▼参加した中学生たちの声▼
「将来は海外に行きたいなと思っています。特にオーストラリアに興味があります。今回海外の文化と日本の文化の違いなどが知れて面白かったです」
「今の仕事に就いた理由を聞いて驚きました。自分の国に電気を送りたいとおっしゃっていて、すごいなと思いました」
「努力はうらぎらないと話していました。自分も努力をし続けようと思います」
「会社の話を聞きました。仕事を楽しいと言っていていいなと思いました」
▼参加した高校生たちの声▼
「双日のみなさんに来ていただき、嬉しかったです。ツアーを企画準備する中で、自分のふるさとを見つめ直すいい機会になりました。大学の話もたくさん聞けました。これから、受験もあるので、がんばっていきたいです」
「参加できてすごくよかったと思っています。『風の電話』の原稿を考えるのにすごく時間がかかったのですが、自分が震災をどう思っているかを探る作業ができました。本当にありがとうございました」
「特に良かったと思うのは、町の復興状況を知ってもらえたことです。私は震災前、町の中心部に住んでいて家を失いました。最近はその地域の復興工事が順調に進み、私も関心を持っていたので、自分の伝えたかった復興状況を伝えられました。また、双日社員の皆さんが私たちの話すことに関心を持って聞いたり、質問をして下さったのがとても嬉しかったです!進路や学校のお話もできたのが、私たちは震災によって繋がったけど、震災によってのみ繋がっているわけじゃないのかなと思いました。被災したとしても、町を構成するのは人であるということを自分でも感じることができました。ツアーをして、私は自分が思っている以上に大槌が大好きなんだなと思いました。大槌に来て、私達の話を真剣に聞いて下さる、そんな人がいるというだけでも本当に嬉しいです。これからも大槌町のことを覚えていてもらえたらとても嬉しいです」