【臨学舎】地元の高校生が「先生」デビュー
1月15日まで続いた、長い長い大槌町の冬休み。
学校がお休みの間、臨学舎の朝は早くから始まります。
朝8時。中学生より一足先に校舎にやってくるのは、たくさんの小学生。
「冬休み学びの場*」に参加する子どもたちです。
*学びの場・・・長期休みを利用し、小学生が学校の宿題や大槌町教育委員長認定の「おおつち検定」に取り組む。昨年の夏休みの様子はこちら。
大槌学園の3年生〜6年生のみにも関わらず、集まった人数は70名。
普段、臨学舎に集まってくる児童の3倍にも上りました。
夏休みと冬休みは、臨学舎に最も多くの子どもたちが集まる期間なのです。
実はここで大きな問題が。
子どもたちが多く集まる期間でありながら、大学生が授業期間中ということもあって、普段大きな力になってくださるボランティアさんがゼロ。
先生たちの数が不足していたのです。
当初組んでいた予定では、およそ15名の子どもたちに対して先生が1名。
宿題を早くおわらせたい!という強い要望に応えるには、少し数が足りません。
そんな中、救世主が現れました。地元・大槌高校の生徒たちです。
大槌高校の先生方の呼びかけもあって、総勢14名の高校生が集まってくれたのです。
中学時代に臨学舎へ通っており、今も自習室に通っている生徒たちの顔もちらほら。
一方で、臨学舎とは全く関わりがなかったという高校生もいます。
聞けば、参加者のほぼ全員が子どもたちと接した経験がないとのこと。
「アルバイトもしたことないし・・・」
「ボランティア自体、初めて」
事前研修では不安な声が上がります。
緊張した顔を見せながらも、いざ教室へ乗り込みます。
* * *
数時間後、活動を終えた高校生は安堵の表情。
感想を聞いてみると、高校生たちの等身大の学びが見えてきました。
「普段、先生たちがどんな思いで接しているのかがわかった気がする」
というのは、高校2年生の男子生徒。
実は彼、中学生のときに臨学舎を途中でやめてしまった生徒の一人でもあります。
「あの時は途中で投げ出してしまって。でも、ずっと気になっていた」
そんな思いで、臨学舎に戻ってきてくれました。
とても緊張した、と話す高校2年生のある女子生徒は
「間違ったことは教えられないと思うと、とても責任を感じた」
とのこと。
普段考えたことのない、先生の大変さを実感したようでした。
一方で、小学生たちの姿に驚く高校生も。
「自分が小学生だったときって、あんなに頑張れていたっけ」
「想像していたより、小学生が楽しそうに一生懸命に勉強していた」
という感想も聞かれました。
休み時間は、子どもたちも高校生たちに興味津々。
普段接しているスタッフやボランティアさんよりも、さらに年の近いお兄さん、お姉さんと接して、子どもたちも楽しそうです。
中には、参加した高校生と小さい頃に遊んだことがあるという子どもも。
「すごい。高校生の制服着てる・・・!」
顔なじみの高校生から勉強を教えてもらった女の子が、羨ましそうにつぶやきます。
子どもたちにとっての「憧れ」は、案外身近な場所にあるのかもしれません。
* * *
「地元の子どもたちと関わってみたい」
「コラボへの恩返し」。
そんな思いを持って、臨学舎に来てくれた高校生たちでしたが、
彼らが経験から得た学びのほうが大きかったようです。
「元生徒」のボランティアさんと子どもたち。
高校生と町の人々。
そして、地元大槌の小学生と高校生。
これまでになかったコラボレーションの幅が、少しずつ広がっています。