サクラ咲け!「特別自習室」の奮闘記
今年もいよいよ、勝負の日が近づいてきました。
3月9日に控える岩手県立高校入試。
臨学舎では35名の中学3年生が、受験に向けて日々勉強に励んでいます。
平日も土日も関係なく、毎日のように臨学舎へやってくる生徒たち。
その中で、他の生徒にも増して、必死で机にかじりつく受験生がいます。
「特別自習室」の生徒たちです。
2月のはじめ。
このままでは志望校合格が厳しいと判断された「特別自習室」生として、名前を呼ばれたのは6名の生徒でした。
彼らに与えられたミッションは「毎日臨学舎に通い続けること」。
「もうだめだ」「俺はどうせ不合格だから」「高校なんて行かない」・・
当初はそんな声も聞かれ、ミッションから逃げることもしばしば。
スタッフはそんな生徒たちを毎日のように引き止め、言葉をかけ続けました。
生徒たちは思うようにならない不満や不安を吐露しながらも、仲間と励ましあい、食らいついてきました。
そして今。
これまでのがんばりが、少しずつ成果となり始めています。
* * *
Hさんは、12月に臨学舎へやってきた生徒。
入ってきた当初は、プリントのほとんどが空欄。
恥ずかしがってプリントを隠してしまうような生徒でした。
そんな彼女、実は見えないところで努力を重ねていました。
できなかったプリントを自習室で何度も何度も解き、次の授業では見事8割以上の問題を解ききったのです。
小さな努力を続けたHさん。
自習室に誰よりも多く通い続たのは、紛れもなく彼女でした。
その証拠に、廊下に張り出される毎週の「自習室ランキング」には、いつも彼女の名前が。
「なんかね、気づくの遅すぎるけど・・・最近勉強楽しい」
気合が入りすぎて、不安や焦りから泣いてしまうこともあります。
それでも彼女は今日も、自習室に足を運びます。
子どもたちに向き合うとき、私たちが大切にしていることがあります。
それは「ジブンゴト化」。
その一歩は「自分のことをジブンゴトとして捉えること」にあると、私たちは考えます。
受験勉強はその一歩を踏み出す一つのきっかけです。
私たちは、子どもたちが自分から逃げ出しそうになったそのときに、声をかけ、見守る存在でありたいと思います。
* * *
一方、臨学舎にやってきた時点では、最も合格が危ういと言われていたMくん。
当初は授業に出席することすらままなりませんでした。
それでも、受験が近づくにつれ、徐々に臨学舎へも足を運ぶようになった彼。
授業の中では小さな「できた」を積み上げられるように、担当スタッフも工夫を凝らします。
スモールステップを続けていくうちに、Mくんの勉強に臨む姿勢はどんどん変わっていきました。
ある日の教室を覗いてみると、周りの生徒がおしゃべりをする中で、脇目も振らずに授業に取り組むMくんの姿がありました。
先日解いた過去問ではなんと・・・クラストップの点数!
今まで見たことのない点数に、一番驚いていたのは彼自身だったと担任は振り返ります。
最後の週末。
遊びの誘惑や休みたい欲求との戦いの中で、Mくんはゆるぎない自信を手にしようとしています。
* * *
県立高校入試まであと8日。
大槌の子どもたちの「ジブンゴト化」を見守ってください。