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【大槌町マイプロジェクトアワード】高校生が町の課題に挑戦!

2017.5.19

ゴールデンウィークも終わり、岩手もようやく暖かくなってきました。
新年度となり、臨学舎に新しく来るようになった子どもたちもいます。
今年度もこのブログで子どもたちや町の様子をお伝えできればと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

さて、臨学舎では4月末に「大槌町マイプロジェクトアワード」を行いました。
マイプロジェクトとは、町や地域を舞台に、高校生自身が感じた課題感をテーマにプロジェクトとして実行していく学習法です。
この日は半年以上、マイプロジェクトに取り組んできた彼らが町の人へ自分たちの取り組みを報告する場となります。

観覧者は総勢110名超。
審査員には町長や教育長をはじめ、高校の校長先生などが参加してくださいました。
高校生にとっては少し緊張感にあふれた報告会の様子を今回はお届けします。

 

 
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発表のトップバッターは古川海暉(ひかる)くん(高3)。

昨年11月に行われたマイプロジェクトのプラン発表会で、小学生を対象に「大槌一日修学旅行」を提案しました。
仙台にも住んでいたことがある彼は、大槌の「人柄の良さ」に感動したといいます。
そのことを伝えるためには、小さい頃から地域の人と触れることが重要だと考え、小学生たちを集めて大槌のとあるお家に民泊を企画しました。
今回は、その実施報告となります。

木を使ったおもちゃづくり、
郷土料理をおばあちゃんに習ってみんなでつくる姿、
おじいちゃんから昔の大槌の話を興味津々に聞く小学生たち。
 
楽しそうな写真とともに当日の様子が語られます。
 
 

 

またこのプロジェクトに無くてはならなかった人、それは協力してくれた地域の方です。
発表終了後にコメントをいただきました。
 

 
「子どもたちは普段触ってるゲーム機のことなんか忘れて、本当に楽しそうでした。
何よりお手伝いした私たちが元気をもらいました。
今度は私たちのイベントをお手伝いしてもらう予定なんです。」
 
彼のプロジェクトは、気づけば地域の人たちにも活気を届けていたのかもしれません。
 
 
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次の発表は「OS Project」。
「OS」とは「O=大槌を、S=好きになろう」の略です。
岩間麗華さん(高3)は、「地元が嫌いな人を好きにする」をテーマに町の人たちへのアンケートやインタビューに取り組みました。 
 

「私は大槌が嫌いでした。」
 

彼女から発せられた一言目に、会場が少しざわつきます。
 
 
「私は、震災で建物も、大切な人もなくしました。
親と離れて避難所生活をしていた時、大人たちを頼ろうとしても、みんなそれどころじゃなかった。
だから大槌の人は冷たいんだと、当時の私はそう思ったんです。
だけど私は、そんな自分を変えたいと思ってこのプロジェクトを始めました。だって、大槌が嫌いなまま町外へ出て、そのまま戻ってこないなんて嫌だったから。」
 
 

事前に用意していた台本の言うべきことをとばしてしまったり、途中何度も詰まりました。
しかし、会場の全員が彼女の言葉を受け止めようとしていました。
真剣に耳を傾ける人、無言で頷く人。

大槌が嫌いだった麗華さんは「みんなはどう思っているんだろう」と思い立ち、身の回りの人たちにアンケートとインタビューをすることにしました。

テーマは「あなたは、大槌が好きですか?」。

「冷たい」と思っていた町の人に話を聞くことは勇気がいります。
しかし話を聞くうちに、あることに気づきます。
それは、「町の人は、冷たくなんかなかった。あたたかい人たちばかりだった」ということでした。
 
「一度町外には出るけれど、今は絶対に大槌に戻ってきたいくらい、私は大槌のことが好きになれました!」
 
 
大きな拍手が会場と麗華さんを包みました。
 
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最後に発表した「Pleaseつたつた」は「身近な人に、感謝や気持ちを伝えるきっかけづくりをする」ということをテーマにしたプロジェクト。
「自分が手仕事で作ったものを渡せば、思いを伝えるきっかけになるのでは」と考え、ものづくりワークショップを実施したり、手紙リレーに取り組みました。

メンバーの黒澤亜美さん(高3)は震災当時、親戚の家に一時避難した経験を持ちます。
その後、仮設住宅へ入居することができるようになり、地元・大槌へ戻ってくることになりました。
その時、「おかえり」と友達に声をかけられたことですごく安心したという原体験が
このプロジェクトを動かすエネルギーになっていました。
 
 

(ワークショップの様子)


(発表する亜美さん)

発表の終盤に近づくにつれて、亜美さんの言葉に熱がこもります。
 

「伝えれば、伝わるんです!
だから、みなさんも今日、家に帰ったら家族に、大切な人に、近くにいる人に、おはようでも、ただいまでも、なんでもいいから伝えてほしいんです。
そんな言葉をかけてくれる人で大槌がいっぱいになったら、大槌は安心して暮らせる町になるはずだから。」
 
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プロジェクトの反省を言い出せばキリがありません。

しかし、本気で自分のテーマに向き合ったこの半年間は、彼ら自身に変化を生み、
また周りの人たちをも巻き込んできました。
 
 
発表後、参加した地域の方からたくさんの応援コメントをいただきました。
 
「若者たちの真摯な発表に力をもらいました。それぞれの高校生が課題を感じて行動している姿に希望を感じました。」
「こんなに素敵な高校生や子どもたちが楽しく安心して暮らせるように、大人も頑張らないといけないです。」

また高校の後輩にあたる新1年生も先輩たちの発表を聴き、興奮していました。

「自分の先輩たちがこんなにすごいことをやっていることに驚きました。自分から行動する、とても大事なんだと分かりました!」

次は、彼らが自分のプロジェクトを発表する番です。
先輩の背中を追いかけるように、マイプロジェクトに取り組もうと自分たちのテーマを探し始めています。

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今回発表した高校生たちは、何もはじめからリーダーシップや行動力を備えていたわけではありません。
自分と向き合い、失敗しながらも行動し、時には逃げ出しそうになりながら、それでもここまでやってきました。

「高校生たちがこんなに頑張っている。自分たちは何かしているだろうか。」

マイプロジェクトに取り組む高校生たちの熱量が、後輩たちを、町の人達を今まさに動かそうとしています。

子どもだけでなく、町の人みんなが学ぶ大槌町へ。
そんな日が来るのも、そう遠くないかもしれません。