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【感謝を込めて】大槌町こども教育センターでも活動をスタート!

2017.7.19

4月はじめの夕方、臨学舎スタッフはドキドキして子どもたちがやってくるのを待っていました。
毎日のように子どもたちはやってきますが、この日は少し違います。
なぜなら今日の授業はいつもの校舎ではないからです。

4月から大槌臨学舎は、これまでの仮設校舎に加えて「大槌町こども教育センター」の施設と、計2カ所での活動をスタートさせました。
教育センターは3月に町の放課後学習の場として建設されたばかり。
この日は教育センターを使って初めての授業です。

「うわー、きれい!」
「木の匂いがする!」

「変わらずに子どもたちはやってきてくれるだろうか。」

そんな我々の不安をよそに、子どもたちは笑顔で通学してくれました。

建物は変われど、生徒たちの日常は変わらずに進んでくれたようです。

振り返ると、臨学舎は2011年12月に公民館の一角から始まりました。

校舎などなかったあの頃、公民館や神社をお借りして、まずは高校受験を控えた中学3年生に学習支援を、そして翌年からは3年生以外の中学生への支援もスタート。
町も混乱状態の中、それでも支援してくださる方々の支えがあって私たちはたくさんの壁を乗り越えることができました。

さらに2013年秋、多くの企業さんのご支援を受けて仮設校舎が建設されました。

新しい、そして広い校舎での活動が始まりました。
その傍らで、寄付だけにとどまらず、時には大槌まで生徒に会いにきていただき、沢山のコラボレーションから学びの機会が生まれました。
そんな支援に支えられながら、私たちは毎年受験生を送り出し、新年度に新しい生徒を迎え入れ続けることができました。

その中で、子どもたちは成長していきました。
「自分も町の復興のために何かしたい」
そう思い、町を舞台に課題やテーマを自分で見つけ行動する課題解決型学習「マイプロジェクト」を始めた高校生たちが、今では防災やまちづくりを学んでいます。

私たちはまた新たな場所で活動をスタートするにあたり、これまでの感謝をお伝えしたいと思いました。
そうして5月末、ご支援いただいた方々を大槌へ招き、落成式の参加に加えて、感謝状贈呈式を執り行いました。

4月のある日、町の放課後を支えるこの学び舎をどういう場所にしたいか、私たちは生徒と一緒に考える場を設けました。

「友達と楽しく学びたい」という小学生。
「苦手な科目に向き合っていきたい」という中学生。
「高校生活を充実させるために、マイプロジェクトに挑戦する場所にしたい」という高校生。

何を学びたいか、どんな時間を過ごしたいか、生徒は口々に話してくれました。

そして実際にこの数ヶ月、多くの子どもたちが自ら学ぶ姿が見られました。

苦手な数学と向き合い、分からない問題でも必死に粘って解こうとした中学生がいます。
最近では少しずつだけど解ける問題が増える喜びを感じているようです。

また町の活性化をしたいと考え、試行錯誤しながら地域の大人へインタビューした高校生がいます。
真剣に耳を傾けながら、今まで知らなかった町の側面を知り、驚きと次のインタビューの準備を入念に行っています。

単なる与えられた知識だけではなく、彼らが一生懸命動いたことで生まれた「学び」がたしかにありました。

5月、教育センターの愛称が「OLAI」と発表されました。

読み方は “おらーい“。
大槌の方言で「自分の家」という意味です。
またOtsuchi Learn Act Inovateの頭文字をとった名前でもあります。
大槌の中で、学び(Learn)、行動し(Act)、変革を起こす(Innovate)場にしていきたい。
そんな思いも込められています。

生徒自身が考え、主体的に行動や挑戦に踏み出した時こそが、一番学びが生まれる瞬間だと考えています。
「ただの居場所」ではない、その中では子どもたちが経験する毎日の小さな学びと挑戦の積み重ねがあります。
そしてその積み重ねは、いつか復興半ばのこの町を支えるエネルギーになるはずです。
その後押しとサポートができるよう、臨学舎では日々子どもたちと向き合っています。

震災から6年4ヶ月が経ちました。
臨学舎は2つの場所を使いながら、引き続き大槌の学びを支えていきます。

教育センターは昨年秋に新しく完成した学校の校舎からも近く、生徒もより通いやすい環境ができつつあります。
また町の中心部にはやっと家が建ち始めて、仮設商店街から引っ越すお店も出ており、町の輪郭が少しずつですが見え始めました。

きっと、この1年でハード面の整備は進むでしょう。

しかし町の大半が津波で流された大槌町では、ほぼ一から町づくりを進めています。
だからこそどれだけ建物ができたとしても、「そこをどんな空間にしたいか」というそこに通う人たちの意志が重要です。

大槌の子どもたちにとって、未来をつくるための「学び」と「居場所」を実現する空間で在りたい。
何よりも主役は、学びの主体である子どもたちである。

そんな思いを込めて、今日も私たちは生徒を迎え入れます。