今だからできることがある〜震災から8年目。大槌臨学舎でのボランティア〜
岩手県大槌町にて認定NPO法人カタリバが運営する、子どもたちの放課後の学びの場と居場所「コラボ・スクール 大槌臨学舎」。
テストや部活動の大会も終わり、子どもたちは穏やかな表情で過ごしています。
そんな子どもたちと話している、1人の大学生の姿が。
現在2ヶ月のボランティアとして参加している矢川さんです。
矢川さんは、徳島からやってきた大学4年生。現在休学している期間を利用して、大槌臨学舎でのボランティアに参加しています。
今回は、そんな矢川さんの体験記をお伝えします。
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■ボランティアに参加したきっかけ
私は、大学3年生の時に大きな挫折を経験しました。
そんな私を救ってくれたのは、ありのままの私を受け入れてくれた家族や友だち、先生でした。私の存在自体を認めてくれたことで、また立ち上がり、ゆっくりと歩き出すことができました。
生きていると、自分の力ではどうにもできないことが起こり、苦しさや絶望、不安を味わうことが何度もあります。そんなとき、その人に寄り添い次の一歩を踏み出すきっかけを一緒に作れる人になりたいと思いました。
大槌町の子どもたちは、幼い頃に震災を経験しています。そんな子どもたちのよりどころとなる大槌臨学舎で活動したいと思い、ボランティアの応募をしました。
実際に活動を始めてみると、想像以上にその人の今いる段階や環境、精神的な状態、目指すところなどによって、サポートの仕方は違ってくることを実感しています。
■ある女子中学生とのエピソード
ある日、大槌臨学舎に通うAさんは、お家でトラブルがあったようです。少し声を荒げ泣きながら話してくれたAさん。私は、話を聞き、辛かったねと声をかけ、肩を抱きしめることしかできませんでした。
どんな言葉をかければいいか、中学生時代に戻った気持ちで考えましたが、辛い自分を甘やかす言葉ばかりがあふれてきました。きっと今Aさんがかけてもらいたい言葉です。しかし、Aさんに必要な言葉はもっと他にあると思いました。
そんなとき、大槌臨学舎のスタッフから、ある言葉をいただきました。
「何事も捉え方次第でいくらでも自由になれる。学ぶことはその手助けになる。
この世に『絶対』『正解』はないということ、そしてそれを自分の意志で定義づけて生きていく強さを、私は彼女に伝えたい。」
Aさんは、自分の気持ちを上手く言葉にして伝える能力があり、なおかつ大槌臨学舎で自分を受け止めてもらっていることを理解しています。だからこそ、次のステップに進むための言葉をかけなければならない、と思いました。
■自分の変化
私は今までにも、教育実習や他のボランティアを通して子どもと関わる機会がありました。いつも子どもたちの笑顔を見て、喜んでくれると私も嬉しくなり、満足して終えていました。
しかし、今回大槌臨学舎に来て、一時的な満足で終えてしまって良いのか?と考えるようになりました。子どもたちがこの笑顔を積み重ねていった結果、大人になったときの笑顔に繋がっているのか、という視点を持たなければいけないと思っています。
そのためには、自分で計画を立て実行し、振り返ることのできる力、失敗を生かし次へと踏み出す力、視野を広げ様々な価値観を受け止める力、好きなことや課題意識からチャレンジする力を育むことのできる空間が必要です。
そして、その空間こそが大槌臨学舎だと感じます。
■震災から8年が経った今だからこそ
ボランティアに来る前には、震災当時に津波の映像をただ見つめることしかできなかった無力な自分の姿を思い出し、「行っていいのかな」という不安な気持ちになることもありました。
実際に震災から8年が経った大槌町に来てみて、新しい家が立ち並び、穏やかな生活が営まれていることが分かりました。
しかし、それは大槌町の人々が震災当時から一日一日を「希望」をもって一生懸命生きてきたからこその今の笑顔・生活があるからだと思います。
この「希望」という言葉が私の頭の中に浮かぶ度、忘れてはならないと実感します。
■ボランティア後の次のステップ
私は、10月から大学生に戻ります。きっと、目の前のやらなければならないことに追われる日々です。
ボランティアに参加して気づいたことは、せわしない毎日だからこそ、自分の目の前にことでいっぱいいっぱいになってしまうのではなく、自分の人生を俯瞰的に見つめ周りに対する思いやりを持つ時間をとることの大切さ。
この経験を心に留め、大学、地域などで、出会った人に自分の五感を通して学んだことを話す機会を作ります。
私からも、復興、希望の輪を、必ず広げていきたいと思いました。
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コラボ・スクール大槌臨学舎では、随時ボランティア・インターンとして参加するスタッフが、子どもたちにとって「少し年上の先輩」として映り、様々な人生経験やこれからの夢を語っています。日常に行われる数分の会話は、子どもたちにとって新しい世界を広げる時間になっています。
みなさんも、コラボ・スクールで子どもたちや地域の課題と向き合ってみませんか?
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