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「高校×放課後」の協働で加速する、大槌町のマイプロジェクト

2020.1.24

岩手県大槌町にて認定NPO法人カタリバが運営する、子どもたちの放課後の学びの場と居場所「コラボ・スクール 大槌臨学舎」。

 

新しい年が明け、東日本大震災からまもなく9年を迎えようとしています。
201112月に開校した大槌臨学舎は、これまで多くの子どもたちに学びの機会を届けてきました。

 

そして2019年4月より、高校との連携へと進化。より多くの子どもたちへ、実践的な活動を通して学びを深めていく、探究の学びの機会を広く届け始めました。

 

自分のテーマを探究できる授業

 

大槌町にある「大槌高校」は、町で唯一の高校です。

進学、就職と進路も多様なこの高校では、今年度から「高校魅力化推進員」がカタリバから派遣され、2年生が「マイプロジェクト」を授業の中で取り組み始めました。

 

「マイプロジェクト」とは、子どもたちが身の回りの課題や関心をテーマにプロジェクトを立ち上げ、実行することを通して学ぶ活動です。 現在、全国各地の高校生が学校内外で取り組んでいます。

マイプロジェクトについてはこちらをご覧ください。

 

初回授業の様子

 

「マイプロジェクトってなんだろう?」と、生徒たちは何をするんだろうと、不安げな様子を見せた初回授業。そこではじめに、1週間単位で取り組む「ミニマイプロ」を4回実践することになりました。好きなテーマで取り組めると伝えられた生徒たちは、思い思いに取り組み始めました。

 

生徒たちが取り組んだミニマイプロは、

・家族のために1週間お弁当を作り続ける

・祭りの用具を自分で作ってみる

・韓国語を勉強してみる

11本の小説を書く

などなど。

 

生徒たちは自分が長く熱中していることや、実はやってみたかったと思っていたことに取り組んでいきます。

 

このミニマイプロの実践を繰り返していくうちに、生徒たちの間にも「あなたのマイプロは何?」と会話が生まれ、「マイプロ」の言葉が浸透していきました。

また先生と生徒共に、1人ひとりの興味関心や意外な一面が分かるようになり、マイプロを通してその人を知り、日常の会話もさらに活発になっていきました。

 

授業×放課後の協働で見える、生徒の変化

 

そして夏休みが明けた9月、いよいよ長期で取り組むテーマを決めていくことに。個人でもグループでもよい、テーマも自由という中、授業が始まりました。

 

この授業には大槌臨学舎のスタッフも参加し、高校の先生方と共に生徒たちのプロジェクトをサポートしています。

また、同時に放課後にもマイプロの活動ができる場所を開き、そこでは臨学舎のスタッフが相談相手となって、さらに生徒の活動を応援する体制を整えました。

  

 

高校生が個別に集まって相談しあっています

 

 

生徒の中には、中学生の時に大槌臨学舎に通っていた人もおり、久々に再開して成長ぶりを感じる場面も。

 

例えばNくんは、中学2年生の頃まで大槌臨学舎に通ってた1人の生徒でした。当時は周りの受験モードになっていく変化にプレッシャーを感じて徐々に顔を見せなくなっていきました。

 

しかし、高校1年生の終わりごろから、再び臨学舎の自習室通うようになりました。彼の変化を少しずつ垣間見えるようになってきた頃でした。

 

そして2年生になり、マイプロジェクトの授業がスタート。

当初は友人とグループを作った彼でしたが、メンバーとのやりたいことの違いを感じ、しばらく悩む日が続きます。

 

その間、自分のやりたいことに取り組もうと盛り上がっている他の生徒たちも、Nくんが悩んでいる様子を気にかけていました。

 

そしてある日の放課後、Nくんから報告がありました。

「実は今日、グループを脱退してきた。メンバーとも話をした。」

 

 

「おお~!」と、気にかけていた生徒たちは、「じゃあこれから一緒に、本当にやりたいことをみつけよう!」と、彼の決断を称賛しました。

その後、一緒にアイデア出しを手伝ったり、彼に問いかけて深掘りしていったりと、この日、Nくんのマイプロジェクトは大きく前進しました。

一緒に協力してアイデアを出そうとしています

 

マイプロを通して互いに尊重し、応援しあう仲間に

 

周りの生徒も手伝いながら決めたNくんのプロジェクトの第1歩目は、「幅広い世代が集まるスポーツ体験会を開くこと」。

 

彼は、「町がスポーツで賑わってほしい」「賑わうとはどういう状態か?」「大槌町で実現するとしたら?」ということを考えながら、誰もが気軽にスポーツができる環境が町にあったらいいなあ、と思い描いていました。

 

その後、Nくんは友人たちに協力してもらいながら、スポーツ体験会を開催。

 

  

この日は同級生が中心に集まり、熱気ある時間になりました。

楽しく開催できた一方、「幅広い世代が集まる・楽しめる」には課題が見つかった様子。次のアクションに向けたハードルが、さらに彼をやる気にさせているようです。

 

中学生の頃の、周りの雰囲気に呑まれ気味だったNくんは、自分のやりたいことを形にし始めるようになっています。

 

■自分を表現する機会は、いつか糧になる

 

Nくんは、協力してくれた生徒たちと、放課後の時間に集まるのが決まりになってきました。

「今どんな感じ?」と友人のプロジェクトを聞いたり、「ちょっと手伝ってくれない?」と自分のプロジェクトにアドバイスをもらったりと、切磋琢磨しながらマイプロジェクトに取り組んでいます。

仲間が開催したイベントに参加し、学びを深めています

 

自分のやりたいことに向き合い、考え、行動することは、自己表現の機会です。

この機会を互いに称賛したり意見しあったり高め合うことで、彼らの自信になっていきます。この経験は、将来彼らが振り返ったときに、自分の糧になるはずです。

 

高校の授業と放課後の時間が協働し、より多くの高校生に学びの機会を届け始めた2019年。

2020年の今年は、さらに地域の人と関わり、多様なプロジェクトが町内に広がっていけるよう、進化し続けます。

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今回紹介した高校生たちをはじめ、岩手県内の高校生が身の回りの課題や関心をテーマに取り組んだ活動を発表する『マイプロジェクトアワード2019 岩手県summit』が、昨年の初開催に引き続き、今年も盛岡市にて2月16日開催されます!「マイプロジェクト」に取り組む岩手県内の高校生が一同に集い学びを発表する場に、ぜひ参加しませんか?

観覧には申し込みが必要です。イベントの詳細はこちらからご覧ください。岩手県の他、全国各地で開催中です!全大会の概要はこちら