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【被災地・大槌より】高校生マイプロジェクト始動!

2020.11.24

 大槌高校には総合探究の授業として「三陸みらい探究」という時間があります。コラボのスタッフたちも2年生の授業に入り、サポートを行なっています。
 2年生は、授業の中で自分の深めたいテーマを設定し、実際に地域に出て、地域の人の話を聞いたり、アクションを繰り返し実施することで、自分だけの「マイプロジェクト」を見つけ始めています。
 先輩たちの姿に憧れた1年生たちも、放課後になるとコラボに来て、「私もマイプロジェクトをやりたい!」と熱心に取り組み始めました。

 探究からアクションに踏み出す生徒たちは、それを「マイプロジェクト」として取り組み始めています。

*総合探究の授業:「総合的な探究の時間」は、生徒が主体的に、身の回りにある課題や、自分が興味関心を持つことがらからテーマを設定し、情報を集め、分析して、まとめて、発表する、といった能力の育成を目的とした授業です。

 

▶ 探究からマイプロジェクトへ

 2年生は、探究の授業の中で、自分の興味関心から問いを立て、それをアクションしながら検証し、さらに問いを深めていく、というサイクルをまわしています。
 アワードエントリーを目指すなかで、放課後、コラボに来てプロジェクトを進める生徒たちがいます。スタッフと話しながら、新たな気付きが生まれ、プロジェクトを前に進めていきます。

マイプロジェクトアワード:マイプロジェクトアワードは探究学習・マイプロジェクトを実行した全国の高校生が一堂に会し、プロジェクト活動を発表する、日本最大級の「学びの祭典」です。

 

▶ ボードゲームプロジェクト

 授業の中で「ボードゲーム」というテーマで探究を始めたグループは、最初は「オセロの必勝法を編み出そう!」とひたすらオセロを繰り返し遊んでいました。しかし、授業の一環でゲーム会社の方に直接自分たちのプロジェクトを話す機会があり、「そんなにゲームが好きなら、作ってみたら?」とアドバイスを受け、意気投合。自分たちのオリジナルゲームを作り始めました。
 ゲーム作りの中では、様々な問いが生まれました。「ボードゲームのいいところはなんだろう?」。今まで遊ぶだけでは考えたこともない問いでした。それでも、次々に意見が生まれていきます。「ボードゲームを手段としてコミュニケーションが生まれる」「年代問わず楽しむことができる」などの答えを導き出しました。
 次に生まれた問いは、「誰かのためになるかな?」。問いに向き合う中で、メンバーの一人が、自分のおばあちゃんから聞いた話を共有してくれました。それは、施設で行なった脳トレのためのボードゲームが楽しかったという話でした。
そこから、「脳トレ×高齢者」という地域をよくするアイデアにつながりました。また、残りの二人のメンバーからも、ボードゲームをしていると普段話さない生徒とも仲良くなれ、コミュニケーションが苦手でも大丈夫だった自分たちの経験を元にして、「ゲーム×新しい友だち」というアイデアが生まれました。
 今後、このプロジェクトがどう発展していくのか楽しみです。

 

 スタッフとのおしゃべりからマイプロジェクトへ

 1年生は、「マイプロジェクトを自分もつくってみたい!」という思いから、部活が終わったあとコラボに来てくれます。「どんなことがしたいんだろうね?」とスタッフと話しながら、「今の高校生たちは、大槌町をどんなふうに感じているだろう?」「今の大槌の防災教育にはどんな課題があるんだろう?」など、普段なんとなくもやもやしていることを少しずつ言語化していきます。

 

 

▶ 高校生居場所プロジェクト

 大槌町について考えていたとき、高校生が気軽に集まれる場所がないという意見が出ました。例えば、某ハンバーガーチェーン店は大槌町から車で片道1時間弱、当然学校帰りに寄ることはできません。また、隣の釜石市にあるショッピングモールに行こうとすれば、交通費がかかってしまいます。もっと高校生が気軽に立ち寄れる場所が身近にあったらいいのに、と思うことは少なくないようです。
 彼女たちと話していく内に、「まずはコラボスクールを高校生が集まる居心地の良い場所にしたい!」とコラボのチラシを作ってくれることになりました。(最近、高校生が立ち寄りやすくなることを願い、購買の商品をリニューアルしました。これが意外に高校生にウケたので、それもひとつの謳い文句として。)
 高校生たちが気軽に立ち寄れる場所、その必要性を聞いていくと、彼女たちはあることに気づきました。私たちにとって、高校時代とは「大槌での思い出づくり」のときなのでは?ということです。
 岩手県沿岸には大学がとても少なく、進学する場合は、ほとんどの生徒が大槌町を離れなくてはなりません。だからこそ、高校生が集まれる場、友だちと語り合う場が大切になるのかもしれません。進学や就職で大槌を離れていく人たちの心に、大槌町が残るようにするにはどうしたらよいのか。そんなことも考えています。

 

▶ 防災演劇プロジェクト

 もう一つプロジェクトを紹介します。
 今の高校1年生は、2011年3月に卒園を迎えました。震災直後だったため、卒園式はなくなりました。しかし、ある保育園では4月になってから卒園式を開いてくださった園があったようです。その園の卒園生でコラボに来ている生徒が、今回、小さな子どもたちに災害時の対応をどう伝えていくか、ということを考えているときに、そのことを話していました。当時大人たちがどう対応してくれたか、そのことが記憶に残り、災害に関するマイプロジェクトを考える生徒たちがまだいます。あのときの記憶をどうにかして形に残そうとする取り組み、大事に育てていきたいと思います。

 

 高校生たちは、自分の見える範囲の社会のなかで一生懸命考え、もやもやしています。それを少しずつでも言語化し、かたちにしていけるよう、コラボスタッフは子どもたちに伴走していきたいと思います。
 また、このような高校生の姿を見て、中学生も刺激を受けているようで、中学生のなかにも、「マイプロ」という言葉が定着してきているなと感じます。学力、偏差値だけではなく、マイプロで学校を選ぶ、そんな新しい学校の選び方が少しずつ生まれてきているのかもしれません。