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【教育旅行】「大川小で震災をようやく実感 日常を見つめ直すきっかけに」〜立命館高等学校 東條先生インタビュー〜

2017.4.07

現在NPOカタリバでインターンシップをしている高橋 奎(けい)と申します。先日の『「3.11を学びに変える旅」実施レポート 〜立命館高等学校の場合〜』の第2弾といたしまして、今回は当日ご引率された立命館高等学校の東條さおり先生へのインタビューをご紹介させていただきます。

Q.今回はどのような経緯で導入を決められましたか?

立命館高等学校は2014年度からスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定を受けています。毎年度SGH東北復興防災研修として東北を訪れているので、今回も、3泊4日で東北に行くことは決まっていました。被災地と一言で言っても地域ごとに、また人それぞれに本当に様々な状況があります。復興の仕方もそれぞれある中で、イノベイティブに復興をして来られている女川に研修に行かせていただきたいと思い、女川での研修を模索していました。様々な復興支援があるということを生徒にも知ってほしいと思い、被災地で子どもたちの居場所づくりや学習支援、心のケアやプロジェクト型学習を行っているカタリバの女川向学館に連絡をしました。お話をお聞きする中で、向学館の視察にとどまらず、大川小学校への訪問、佐藤敏郎先生のご説明、佐藤先生のワークショップ、現地の中高生とのワークショップをプログラム化していらっしゃると知りました。生徒に震災の被害、人々の思い、自分たちにできることを学んでもらうために、実施を決めました。

Q.当日の生徒の様子はいかがでしたか?

3泊4日の2日目にこのプログラムを実施しました。1日目は仙台市と石巻市で震災を経験された方からお話を聞いていましたが、正直、生徒はそこまでの衝撃を受けていない様子でした。1日目にお話をしてくださった方から、「女川や大川小学校の方が感じるものが多いだろう」と言われ、生徒は「女川行ったらもっと怖い話聞くんだろうな」「不安だな」と話していました。そんな中、実際に佐藤敏郎先生の引率で大川小学校に行くと、言葉にならないという表情をしていました。佐藤先生が当時の情景が想像出来るようなお話をしてくださるからこそ、生徒は感じるものがたくさんあったのだと思います。写真を使って説明していただくことで、実際に当時の子どもや教員の様子がリアルにイメージできました。大川小学校での生徒の様子を一言でいうと「全身で受け止めている」という言葉が適切だと思います。生徒の振り返りシートを見て驚いたのですが、大川小学校を訪問し、佐藤先生のお話をお聞きすることでやっと「東日本大震災があったのだということを実感した」生徒もいたようです。

Q.実際に行ってみて感じたことはありましたか?

今回の研修の目的は、震災について学んだ上で自分たちに何が出来るのかを考えることでした。そのためには、「震災で何があったかを知ること」「どう復興が進んできたのかを知ること」「被災地の人が感じていることを知ること」が必要だと考えていました。実際に行ってみて、生徒は日常生活での自分の生き方を見つめ直したと感じました。立命館のボランティアグループの担当の教員が常に「震災について考えることは日頃の生き方を考えることだ」と言っていたことに強く納得をしました。

Q.今後生徒に期待したいことはありますか?

日常で防災や、東北に思いをはせるタイミングを作ってほしいと思います。facebookで震災関連のページにイイネをすることで日常的に震災関連の記事を目にする機会を増やしたり、日曜日のNHKの震災・復興関連の番組を見ることなどから始めても良いと思います。そういうことを通して、今回大川小学校で学んだことを考え続け、家族や友達との日常をもっと大事にできるのだと思います。また様々な人に今回の経験を話してほしいと思っています。

Q.これから取り組んでいくことはありますか?

月命日などにミーティングや発表をするなど、これで終わらず、これからも東北や震災について考える機会を持ち続けてほしいと思っています。発表をする際には、ただ見て聞いたことを発表するだけではなく、大川小での学びを通して、自分たちはこれからどうしていくのか、日々の生活の中で実際にどう行動に移していくのかを考え、発表してもらいたいと思っています。また、防災訓練の見直しを生徒主導で行いたいという生徒からの声を、形にできるように教員としてサポートしていきたいと考えています。大川小のワークショップ後に「避難訓練を変えたい」という話が生徒から挙がり、想定外に対応できる避難訓練の構想を宿舎に帰るバスの中で全員で考えました。学校全体に呼びかけたり、先生方と様々な交渉を重ねることも多くなり、どこまでできるかわかりませんが、生徒からの声を形にし、学校全体に届けることができればいいなと考えています。


以上でインタビューは終わりとなります。
後日、先生からは事後学習を重ね、研修全体の振り返りや、京都に戻って感じていることについて話し合いを行い、またどのように避難訓練を改善するか、全校生徒に避難訓練を真剣に取り組んでもらうためにはどうしたら良いのなどについて話し合ったとお聞きしています。今後は、4月の始業式で東北研修で学んだことや避難訓練の大切さを知ってもらうための報告を行うことや、避難訓練の改善案を作成し、学校に提案することを予定しているそうです。

このように視察だけに留まらず、教育旅行での学びが日常の行動に繋がっていることに大きな意味を感じています。
今後も、生徒たちの新たな取り組みに注目していきたいです。

【ご紹介】

立命館高等学校のHPでも研修の取り組みが紹介されました。(東條先生執筆)
http://www.ritsumei.ac.jp/fkc/common/file/news/20170111SGH_Tohoku.pdf?version=

【ご案内】

「3.11を学びに変える旅」は現在導入して頂ける中学校、高等学校を募集しております。
[プログラム内容] http://www.katariba.net/class/trip/
[導入事例] http://www.katariba.net/teacher/intro/shounan/
[資料請求] https://goo.gl/forms/zcdYYWzKJNqUcYx53
※詳細は、03-5327-5667(担当:林)までお問い合わせください。