被災地の高校生は今何を思うのか?〜高校生インタビュー〜
こんにちはNPOカタリバの髙橋奎(けい)です。今回は「被災地の高校生の今」をテーマに女川向学館に通っている高校2年生に、震災当時のことや向学館での活動、そして将来のことについてインタビューしました。震災当時小学校5年生だった彼は、今何を思っているのでしょうか。
◆震災当時はどのような状況でしたか?
学校の下校途中だったため、友達2〜3人と一緒にいました。みんなでいたから、さほど怖くはなかったです。そのあと高台に移動し、その途中でたまたま妹と会うことができ、父親とも電話が繋がりました。その日は家族で商店街に避難して夜を過ごしました。
駐車場にスーパーの販売車があって、そこでお菓子をもらったことを覚えています。
家は高台にあったこともあり無事でした。
◆震災後はどんな生活を送っていましたか?
2日目からは高校の体育館に避難し、生活していました。
避難生活で一番困ったのは食べ物。食べるものがあまりなく、さつまあげや菓子パン、おかゆでお腹を満たす日々でした。母親は女川町立病院にいて、震災から数日後に会えました。それからは仙台の祖母の家と女川の家を行き来する日々を過ごしました。
◆今震災を振り返って何を思いますか?
震災直後、津波の黒い水が強く印象に残っています。町が壊されて悔しいという思いもありつつ、しょうがないという考えも強くなり、気持ちは落ち着いてきたという感じがします。震災が起こったことで、様々な支援をいただいたり、向学館ができたこともあり、いろいろなことにチャレンジできるようになったので、前向きな気持ちになれました。
◆向学館はどんな所ですか?
向学館は「勉強ができること」「みんなと過ごせること」の2つの意味で好きです。それに、スタッフがとてもフレンドリーで過ごしやすいです。普通の小学生だったら下校中は遊びながら帰れる時間です。でも、あの頃は瓦礫の撤去作業で危ないこともあってバス通学になったり、勉強する場所もいろいろと変わるなど慣れない環境が続いていました。そんな中、向学館ができたことで、気づけば勉強するようになっていました。今となってはあのときに勉強しておいたことが、高校生活を有意義に過ごせていることに繋がっていると思います。また向学館は居場所にもなっていて、中高になったらさほど集まることはなかったであろう小学校の同級生たちとも会える場所になっているのが、とても嬉しいです。高校になってから、同じく地震が起きた熊本に行き、現地の中高生とも交流ができたり、とても刺激的な日々を過ごしています。
◆将来やりたいことはありますか?
先生になりたいです。子どもたちが枠にとらわれずいろんなことにチャレンジできるよう、声がけできる先生になりたいです。
◆これからどんなことにチャレンジしていきたいですか?
震災で落ち着かなかったこともあり、小学校の時にあまりいい思い出がありません。だからこそ、小学生には有意義な小学校生活を送って欲しいなと思っています。将来小学校の先生になりたいと考え、いまは向学館で小学生に勉強を教えるサポートをしています。小学生とはいえ、みんな自分の意見をしっかりと持っているので、それをまとめるのは難しく大変です。でも、工夫しながら直に教えられる機会があってとてもありがたいです。
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震災から6年。自分なりに一歩ずつ、これまでの様々な経験を学びに変えてきた彼。「こんなことをしてみたい」と感じることを、自分なりに試行錯誤しながら進んでいます。
「自分の未来は自分で創れる」
そう思わせてくれる姿に頼もしさを感じました。
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