【被災地・女川町より】高校受験奮闘記~弱い自分に打ち勝つために
宮城県女川町に、いよいよ本格的な冬がやってきました。
被災地の放課後学校コラボ・スクール女川向学館に通う中学3年生たちの表情が、少しずつ変わってきています。
夏休みから1日も休まず向学館に来ているあの子も、
いつもみんなを笑顔にしてくれるあの子も、
みんな受験生。
高校受験は子どもたちにとって、自分自身に打ち勝つための初めての試練かもしれません。
今回は高校入試まであと100日をきった、中学3年生の「今」をお伝えします。
「やばいーテスト返された―」
「今日は過去形やろっかな?」
「もっと勉強しないとやばいなぁー」
毎日夕方になると、学校を終えてバスに乗った中学3年生が、元気に向学館にやってきます。
18時に授業が始まるまでは、自習の時間です。
苦手な科目を頑張る子、
得意な科目をやり続ける子、
先生に積極的に質問する子など、勉強の仕方にも個性が出ます。
向学館に通う今年の中学3年生は全部で23人。
向学館では中学3年生になると、1、2年生のときよりも多く、子どもたちとスタッフが1対1で面談をする機会を作っています。
普段は話さないようなことも、1対1だからこそ話せる本音。
友達と一緒にいるときは笑顔でがんばっているけれど、成績が上がらない自分自身が嫌い。
行きたい高校が本当はあるけれど、行きたいと言えないもどかしさ。
刻々と迫って来る受験日を考えると、気持ちばかりが焦ります。
「勉強ができないのは、今までサボってきた自分のせいだから、ここでがんばらなくちゃいけないのだと思う。」
1人の中学生が授業の最後にスタッフにつぶやきました。
弱い自分と向き合うことは、大人のわたしたちでもつらいことです。
授業中、分からない問題ばかりで机に突っ伏してしまいたくなる時も、
点数が上がらない自分自身に苛立つことも、もちろんあります。
そんな時でもがんばることができるのは、やっぱり一緒にがんばる友達がいるからです。
この日は模試の判定が思うように上がらない子どもたちを見て、スタッフが中学生の頃に受けた模試の結果を子どもたちに見せます。
「ほら、見てC判定!わたしも10月の模試では合格可能性30%だったのだよ。ここからが大切なのは、あきらめないで自分を信じること」
「俺には絶対無理だー」
そんな声が聞こえてきました。
絶望的な点数を取ってしまい勉強したくなくなる日も、
周りの人と比べてしまって悲しくなる日も、
授業は夜遅く21時まで続きます。
「あーー、今日も終わった!」
中学3年生が今日も元気に帰っていきました。
こうしてみんなで一緒に勉強出来る時間も、残りわずか。
自分自身が向き合わなくてはいけない壁。
それが高校受験です。
女川はこれから寒い冬に突入します。
寒い冬のあとには必ず春が来ます。
春にみんなで笑えるように、自分を信じて3月までがんばっぺし!