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「全力で向き合い、子どもたちの自信を育みたい」熊本から女川にやってきたスタッフの物語

2021.2.09

カタリバでは、子どもたちと接するときに「タテの関係(親や先生など)」でもなく「ヨコの関係(同世代の友人)」でもない「ナナメの関係」を大切にしています。

ナナメの関係を体現するスタッフがいることはコラボ・スクールの魅力の1つです。

 

今回はナナメの関係を体現する向学館スタッフの1人を紹介します。

「あっこさん」と子どもたちから慕われる彼女は熊本県熊本市出身。

大学を卒業し、新卒でコラボ・スクールで働き始めました。

 

▲最前列真ん中の女性が「あっこさん」です▲

 

■子どもと関わる時に悩んだことはありますか?■

働き始めたばかりのころはどのように対話すれば子どもたちの本音をより引き出せるか毎日のように悩んでいました。

 

印象に残っているのは「向学館は1人になれる場所」と言っていた中学生の女の子です。

向学館では子どもの安心安全のために「子どもを1人にしない」ことをスタッフが心がけています。

「1人になりたい」と言いながらも向学館のように「子どもを1人にさせない場所」に来ていたということは、少なからず誰かと話したいという気持ちがあったのだと思います。

本当は何か話したそうにしているその子に、踏み込んで話を聞くことが最初はできませんでした。

 

中学3年生になり受験が近づくと、彼女と接する時間が少しずつ増えてきました。

自習室で勉強を教えるうちに、少しずつ本音や悩みを打ち明けてくれるようになりました。

その後、彼女は希望する高校に合格することができました。

志望校に合格できたことで、良かったと思う反面、その子の本音を引き出すことがもっと早く出来ていれば、その子の悩みに早く気づけたのかもしれないと思っています。

 

▲働いて1年目、小学生に算数を教えるあっこさん▲

 

■子どもたちへの向き合い方が変わったきっかけは■

悩んでばかりだった私が変わることができたのは職場の先輩のおかげでした。

「落ち着いたお姉さん」として子どもたちから慕われている先輩は私にとっても「ナナメの関係」でした。

 

先輩は本当に小さなこともおろそかにすることなく1つ1つ丁寧に仕事をしていました。

例えば授業中に子どもに渡す賞状を紙の材質から文字の大きさ、カラー印刷ということまでこだわっていました。

 

その先輩がある日、悩んでいる私に、子どもたちへの向き合い方について、子どもたちに届けたいものを十二分に届けるために、子どものことを考える時間をとって、何を届けたいか言語化できるようになるといいよと教えてくれました。

それからは、「学習のどこでつまづいているのか」、「どんなことに悩んでいて、考えているのか」をまず最初に言語化し、行動するようにしてみました。

 

例えば、私が担当している英会話の時間では「1対1の時間」を大切にするようにしました。

英会話に参加してくれる中学生のレベルやモチベーションは個々で全く異なります。

大勢で話す時間では、せっかく英語にチャレンジしたいと思っている子どもも委縮して話せなくなってしまうときがあります。

それぞれの子どもにあった成長のステップに合わせ、小さくてもいいからチャレンジできる場を作りたいと考えました。

 

ある中学生の男の子は、「将来サッカー選手として活躍するために英語を学びたい」と語っていました。

英語にとても憧れがあったのですが、英語ができない劣等感で中々チャレンジできずにいました。

そこで、オンラインの英会話授業では、チャレンジを促してくれるような先生を彼の担当にしました。

最初は照れて話せないこともあったのですが、先生と彼、1対1の小さなチャレンジの場を作ることで周りの目を気にせずに少しずつチャレンジできるようになりました。

 

ある企画で外国の人と話す機会があり、自分から英語を使って照れながらも話しかけることが出来るようになりました。

彼の成長に周りだけではなく、彼自身も驚いていました。

 

この英会話での経験を通して彼は少しずつですが自信を持つようになりました。

小さなチャレンジの場がたくさんあったことで、もちろん失敗もありましたがそれも含めて学びとなったようです。

英会話では「小さなチャレンジを積み重ねによる成功体験」を届けたいと考えていたので、小さくとも彼の成功体験となったのは良かったなと思っています。

 

▲英会話で伴走する様子▲

 

▲中学生と面談するあっこさん▲

 

■子どもへの想いは■

子どもたちの自己肯定感を育みたい」と思い子どもたちと関わっています。

 

子どもたちが自分自身のことをやれば出来ると思えている状態であれば、きっと、将来への可能性はもっと広がると思っています。

そのために「そのままの自分でも素晴らしい」と子どもたちが思えるようにまずは肯定すること、そして、小さなチャレンジの場を作ること、成功しても失敗しても全力で受け止め、全力でフィードバックして次につなげることを大事にしています。

 


▲休み時間、小学生と対話する1コマ▲

 

本音の対話とナナメの関係にはあらゆる点で「全力さ」が必要であると笑顔で語るあっこさん。向学館のスタッフはこれからも子どもたちと全力で向き合っていきます。

 

今年度も残り2か月。がんばっぺし!