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これまでの10年間ありがとう~向学館旧校舎への感謝式~

2021.4.02

2011年7月4日、東日本大震災から約半年後に、女川向学館は開校しました。

震災で学び場と居場所を失った子どもたちに「震災があったから夢を諦めた」ということが絶対に起こらないようにとはじまった向学館。

 

あれから10年。

2021年3月31日をもって、旧女川第一小学校校舎での活動を終え、4月1日より女川駅前にあるシーパルピア女川で活動を開始します。

女川の中心部である女川駅前に移転することにより、子どもたちがより向学館に来やすくなります。また、探究的な学習は町の中心部で行うことが多いため、今後より探究的な学習にも力を入れられる環境となります。

 

今回は、3月18日に行った校舎への感謝式の様子を紹介いたします。

この感謝式は、10年間でお世話になった方々と校舎に対しての感謝の気持ちを伝えるため、さらには関わった人が校舎と10年間の日々にけじめをつけるために実施しました。

女川町長、教育長はじめ関係者の皆様や向学館の中学3年生が参加し、オンラインでの参加も合わせると総勢60名近くの式典となりました。

 

式の最初には、10年間を振り返る映像を上映しました。

この映像は、向学館卒業生146名にとったアンケートの声を元に作成しています。

向学館立ち上げの想いや子どもたちの声とともに、過去の映像や画像が会場に流れました。

 

「受験の直前に震災が起きた。通っていた塾がなくなって、不安だった。」

 

「心のよりどころ、全てにおいて自分を受けとめてくれる場所。」

 

「向学館がなかったら、いまの自分はきっとなりたっていない。」

 

「果てしなく広い世界から、自分を見つけだすことができた。」

 

10年間、この場所で学び過ごしてきた子どもたちの言葉がいくつも映像に出てきました。

 

投影が終わると、大きな拍手が起こりました。

向学館で過ごした日々を思い出したのか、参加者の中には目に涙を浮かべた方もいらっしゃいました。

たくさんの子どもたちの言葉を通して参加者それぞれが、向学館がどんな場所だったか考える時間となりました。

 

▲映像の一部▲

 

映像の後は向学館の在校生、卒業生の2名に、代表で向学館の思い出を話してもらいました。

在校生を代表して話した中学3年生は、英会話のプログラムなど向学館は異文化に触れる機会が多かったことに触れ、

「高校では国際社会を学ぶコースに行くが、ここでの経験は多くの場面で自分を助けてくれると思う。感謝の気持ちを忘れず、私たち在校生は学び続けるべきだと思う」

と語りました。

 

卒業生を代表して話した大学生は、

「震災で疲弊していた自分にとって、学校が終わった後に向学館で学ぶ時間が明日を生きる活力になった」と語ります。

 

小中と向学館に通った彼は、その後、中学を卒業しても向学館に通い続け、将来の目標探しをしながら、向学館で小学生に学習指導を行うボランティア活動を2年間向学館で続けました。「高校生の私にとって向学館は、自分のやりたいと思ったことを全力で応援してくれる場所でした」

と当時のことを振り返ります。

「向学館のおかげで私は震災の辛さを乗り越えみんなと楽しく過ごすことができました。向学館のおかげで将来の夢を見つけることができました。」と最後は力強く話してくれました。

▲向学館の思い出を語る在校生と卒業生▲

 

その後、「向学館がどんな場所だったか」というテーマで3~4人のグループに分かれて座談会を行いました。

あるチームでは、「今後、向学館にどうなってほしい?」という質問に、参加していた向学館の卒業生が想いを語りはじめました。

「どんな時でも自分の挑戦したいという気持ちに寄り添ってくれた向学館のおかけげで、将来の夢を見つけることが出来ました。だから、これからも女川の子どもたちのための放課後の居場所になってほしいと思います」

 

向学館で過ごした時間や長さは一人ひとり異なります。それぞれが自分の想う向学館について語り合う、そんな時間になりました。

 

▲座談会の様子▲

 

▲集合写真▲

 

会が終わって感想を共有する時間になりました。

感想の一部をご紹介します。

 

「向学館がどんな場所であるべきか、当時毎日のように話し合っていました。熱意をもってみんなと働いていたことを思い出しました。今でも教育に関わる仕事をしているが同じ問いを持ち続けています。そして、向学館のような場所がいろんな場所で必要とされていることを感じています」(開校当初に関わっていたスタッフ)

 

「小学校6年生から高校生まで通いました。先生や家族以外の大人とみっちり関われる場所は無いですよね。今は県外の大学に通っています。向学館の話をすると『すごい環境だね』とよく言われます。貴重な環境だったんだなって外に出て改めて思いました。遊ぶ場所は流され、バス下校が基本となり放課後どっかで集まることはなかなかできませんでした。友達みんなと集まる時間は本当に大切だったんです」(オンラインで参加した卒業生)

 

震災で学び場と居場所を失った子どもたちに「震災があったから夢を諦めた」ということが絶対に起こらないようにとはじまった向学館。

この10年間、一緒に悩み、話し、時間をともにしたみなさんと、この校舎で最後に同じ時間を共有できたことは今後も忘れません。

 

コラボ・スクール女川向学館はその名の通り、様々な方のコラボレーションで10年間活動することができました。

新拠点に移っても女川の子どもたちに学び場と居場所を提供していきたいと思います。

 

これからもがんばっぺし!