「こんなところで学習できるなんて楽しみ」女川向学館引越しの様子をお伝えします
2021年3月31日をもって、女川向学館は旧女川第一小学校校舎での活動を終え、4月1日より女川駅前にあるシーパルピア女川で活動を開始しました。
女川の中心部である女川駅前に移転することにより、子どもたちがより向学館に来やすくなります。また、地域と交流しやすい環境となるため、今まで以上に地域に協力してもらい子どもたちの学びを深めていきます。
先日、約10年間使用した校舎への感謝式の様子を紹介いたしました。
今回は引越しの様子と新しい拠点について紹介いたします。
校舎への感謝式を終えた翌日から引越しが本格的にはじまりました。
校舎の引き渡しに向けて1つ1つ片づけていきます。
机や椅子が無くなり、すっかり広々とした教室。
立ち上げから関わるスタッフが
「物がすっかり無くなったのをみると最初、何もなかった立ち上げの時を思い出すよ」
と語りました。
▲旧校舎の自習室の様子▲
▲片付け後の自習室▲
校舎が移転するということを聞きつけ、向学館の卒業生が顔を覗かせました。
石巻で働く20歳の卒業生は、机や椅子が無くなり空っぽになった教室をみて呟きました。
「私はこの小学校の卒業生なんだよね。震災で色んなものが流されちゃったけどこの母校は残ってたんだ。向学館がこの校舎を使ってくれていたから嬉しかった。もうここに来れなくなっちゃうのは寂しいな。」
女川向学館卒業生147名に実施したアンケートでは91.8%が
「向学館があって良かったと思う」
と回答しています。
また、ある卒業生は向学館を「自分にとって心の拠り所だった」と記していました。
旧女川第一小学校の校舎には震災前から多くの女川町民の思い出が詰まっています。それだけではなく、震災前の女川を知る子どもにとっては津波で流されなかった大切な場所の1つでもでもありました。
引越しに際し、心機一転の心持ちでありながらも、子どもたちが旧校舎を拠り所であると感じていた気持ちを真摯に受け止めたいと思います。
▲新拠点の内装を行うスタッフ▲
次は新しい拠点の様子を紹介いたします。
女川駅前の商業施設、シーパルピア女川に新しい拠点を構えました。
目の前にはシーパルピア女川のシンボルであるレンガ道が伸びています。
遠くに女川港を臨む海の街、女川を代表する景色です。
▲遠くに海を臨むレンガ道▲
4月23日、新拠点に移ってからはじめての授業を行いました。
新拠点の使い方を説明するだけではなく、向学館でどのように学習をしてほしいか伝えました。
新拠点に入り、子どもたちは初めて目にする光景に目を輝かせていました。
ある中学3年生は、
「窓が大きくておしゃれだね。こんなところで学習できるなんて楽しみ」
と笑顔で語りました。
また、毎日のように向学館を利用している中学2年生は、
「学校から近くなって通いやすくなったね。前よりもっと向学館に通いやすくなるよ」
と前向きな気持ちを伝えてくれました。
▲子どもたちに向けて改めて自己紹介をするスタッフ▲
2011年7月4日、東日本大震災から約半年後に、女川向学館は開校しました。
震災で学び場と居場所を失った子どもたちに「震災があったから夢を諦めた」ということが絶対に起こらないようにとはじまった向学館。
場所と内装が新しくなっても、開校当初の思いと子どもたちの心の拠り所であることは変わりません。新しい女川向学館の門出を温かくお見守りくだされば幸いです。